大手キャリア(docomo、au、SoftBank)から格安SIMに乗り換えるとしたら、いったい何が変わってしまうのでしょうか? 格安SIMへの乗り換えで「変わること」「変わらないこと」を挙げてみました。
変わること・かわらないこと
変わること | 変わらないこと |
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それでは、格安SIMにして変わることから紹介しましょう。
スマホの料金 …安くなる
一番大きく変わるもの、それは料金。「格安」SIMと呼ばれるだけあって、格段に安くなります。試算してみましょう。
- 大手キャリアの平均月額料金 …8,451円
- 格安SIMの平均月額料金 …2,753円
(MMD研究所「2019年スマートフォンの料金に関する調査」より)
その差は約5,000円です。毎月、5,000円を節約できることになります。年間では5,000円×12ヵ月=6万円。年6万円の差は大きいです。
家族で乗り換えようという方もいることでしょう。4人家族がそろって格安SIMに乗り換えると、年間で6万円×4人分=24万円です。
スマホは毎日の暮らしに必要なもの。出費を抑えた上で、快適に使いたいですね。
契約プラン …自分の使い方にぴったりのプランに
大手キャリア3社の契約プランは、ほぼ横並びです。それに対して、格安SIMの料金プランはバラエティーに富んでいます。
月ごとに決まった高速データ通信容量が使えるプランを見てみましょう。1GB以下の小さいプランから20、30GBといった大容量プランまで選べます。容量は各社さまざまです。また、1日単位で通信容量を決めている「日次プラン」、通信容量の上限を定めない「使い放題プラン」もあります。
LINEやInstagramなどが使い放題のプランや、動画配信サービスなどが使い放題のプランもあります。かけ放題がついていたり、サポートが充実していたりと、プランの内容は多彩です。
自分に合うプランを選ぶには、格安SIMの方がよりフィットしたプランがあることでしょう。
通信速度 …速さはキャリアにかなわない
通信速度は、大手キャリアの方が優れています。通信速度の速さ、通信品質の安定は大手キャリアでこそ実現しているものです。大手キャリアから回線を借りることで通信サービスを提供している格安SIMは、キャリアにはかないません。
通信速度は時間帯やユーザー数、場所などによって変わります。会社や学校が昼休みの時間帯などは混雑して速度が低下します。時間や環境に影響を受けずに快適に通信することを重視するのであれば、やはり大手キャリアという選択になります。
通話料金 …通話アプリやかけ放題オプションを使おう
通話料が大手キャリアと格安SIMでは異なります。キャリアのプランでは、基本的に無料通話がついています。格安SIMでは無料通話分はありません。
格安SIMは、「音声対応SIM」を選ぶと電話回線による通話ができます。通話料は、20円/30秒。この料金で電話をたくさんかけると、せっかく月額料金が安くても、大手キャリアよりスマホ代金が高くなってしまうことも。
とはいえ、格安SIMの会社もさまざまな通話サービスを用意しています。通話料金の半額サービスは、通話アプリを利用すればどの格安SIMでも使えます。
また、「かけ放題」オプションも多くなりました。契約プラン同様に、かけ放題の内容はさまざまです。1分、5分、10分のかけ放題・特定の相手へのかけ放題など、使い方にあったサービスを選べます。
LINE通話など、無料通話アプリを使えば親しい人への通話料は節約できますね。さらにオプションサービスを選べば、通話料金UPの問題は解決できるはずです。
サポート体制 …キャリアよりは手薄
大手キャリアのサポートは充実しています。ショップで店員さんに相談することができ、トラブルがあったときも対応してもらえます。キャリアは高い価格を設定していますが、その分サポートや補償にコストを投入しているのです。
格安SIMのサポートは、どうしても大手キャリアよりも手薄になります。なぜなら、サポートに回すコストを抑えて、安い通信サービスを提供しているから。基本は公式サイトでの対応とコールセンターでの相談になります。故障の場合は直接メーカーに対応してもらうことが多いでしょう。
このメリット・デメリットはユーザーの考え方次第です。ユーザー自身がスマホについてある程度くわしくなれば、至れり尽くせりのサポートは必要ありませんね。
もちろん、大手キャリアのようなサポートがないのは不安…と思う方も少なくありません。幅広いユーザーの声に応じて、最近はサポート体制を整える会社も多くなりました。格安SIMを選ぶときに、どのようなサポートが欲しいか考えてみてもいいでしょう。
最低利用期間 …短くなって気軽に解約も可能
大手キャリアでは、いわゆる「2年縛り」があります。自動更新される上に、解約金がいらない期間も限られている…というのはなんとも窮屈です。格安SIMでは、最低利用期間がまったくなかったり、あっても半年~1年というものがほとんど。他社のスマホにしてみよう、というときにフットワーク軽く実行できるのが格安SIMの強みです。
格安SIMの種類ごとに見てみましょう。「データ専用SIM」というタイプだと、ほぼ最低利用期間がありません。おためしで使ってみることも気軽にできます。
キャリアのスマホのように使うには「音声対応SIM」を選びます。こちらは最低利用期間のあるものが多くなりますが、あっても6ヶ月から12ヶ月くらいです。最低利用期間が0日という音声対応SIMもありますが、その場合はMNP転出の手数料(番号をそのままで乗り換えるための手数料)が割高になるので気をつけましょう。
格安SIMの最低契約期間ランキング! -すぐ解約しても大丈夫なのはどこ?
キャリアのメールアドレス …Gmailなど、フリーメールに変更
大手キャリアをやめて格安SIMに乗り換えたら、大手キャリアのメールアドレスが使えなくなります。docomo.ne.jpやezweb.ne.jp、softbank.ne.jpなどのアドレスです。ただし、格安SIMの中でもUQモバイルだけは、キャリアメール(***@uqmobile.jp)を有料で取得することができます。
格安SIMでは、フリーメール(GmailやYahoo!メール)を利用できます。乗り換える前に取得しておきましょう。
家族や友人であれば、LINE等のメッセージアプリを利用すれば大丈夫。キャリアメールがなくても困ることは少ないはずです。
クレジットカード決済 …クレジットカードを用意しておこう
Webで簡単に契約を完了できる格安SIM。「支払いはクレジットカードで」と指定しているところが大多数です。
クレジットカードを持てない学生の方や、クレジットカードを利用したくない方は、契約ができないこともあります。格安SIMの契約の前に、クレジットカードを用意しておいた方が良さそうです。
まだ少数派ですが、口座振替に対応している格安SIM会社が登場してきました。デビットカードでの支払いが可能という格安SIMもあります。口座振替には手数料が必要だったりするところもあるので、条件をよく確認しましょう。
テザリング …一部の機種で使えないことも
テザリング機能は、スマホ端末の種類によって使えたり使えなかったりします。
テザリングとは、スマホを通して他のパソコンなどがインターネット通信できる便利な機能。格安SIM自体はテザリング機能に制限をかけていないのですが、スマホ本体との組み合わせでテザリングができない場合があります。これは、元々のキャリアや機種によって対応が異なるので、事前に確認した方が良いでしょう。
格安SIMそれぞれの公式サイトで、「動作確認一覧」というページをチェックします。その格安SIMを使ってテザリングが利用できる機種かを確認できます。動作確認に「テザリング」という項目がない場合は、問い合わせてみましょう。
LINEのID検索 …LINEモバイル以外では対応していない
LINEでID検索をする時に、必要となるのが年齢認証です。格安SIMでは、この認証ができません。これは、LINEが大手キャリアのIDを使って認証を行なっているからです。
不便ですが、ID検索以外の検索をすれば特に問題はありません。近くに相手がいる場合は「ふるふる」「QRコード」で、離れた相手であればQRコードリーダーから「自分のURL」を発行すれば登録してもらえます。
なお、LINEが運営しているLINEモバイルは、この点をクリアしています。今のところ、格安SIMでLINEのID検索が可能なのは、LINEモバイルだけです。
では次に、格安SIMになっても変わらないことを紹介します。
変わらないこと – 電話番号 …MNPでそのまま使える
電話番号は、大手キャリアの番号をそのまま格安SIMでも使い続けることができます。このシステムをMNP(ナンバーポータビリティ)と言います。
このMNPを行うには、キャリアで「MNP予約番号」という10桁の番号を取得します。発行には手数料がかかり、2,000~3,000円くらいです。有効期限があるので、新しい格安SIMを決めてから手続きをすると良いでしょう。
スマホ端末 …条件が合えば、引き続き使える
大手キャリアで使っていたスマホ端末を、格安SIMで引き続き使うことも可能です。ただし条件もあるので、注意しましょう。
docomoのスマホを使っていたなら、docomoの回線を借りている格安SIM…docomo系の格安SIMだとすんなり乗り換えができます。基本的に、使い慣れたスマホのSIMを差し替えて、格安SIMをセットすれば良いだけです。
auのスマホでは、auの回線を使っているau系の格安SIM会社を選びます。auは通信規格の問題があってSIMロック解除が必要な場合もあるので、動作確認ができているかをチェックしましょう。
SoftBankのスマホでは、SIMロック解除をおこなった上で利用することができます。SoftBank回線の格安SIMは以前はなかったのですが、ようやく登場したところです。これからのサービスに期待しましょう。
通信エリア …キャリアと一緒で安心
格安SIMの通信エリアは、ネットワークを借りている大手キャリアと共通です。docomoの回線を使っているところはdocomoの通信エリアですし、au回線のところはauと一緒。お昼時や通勤時間帯などの混雑時に通信速度が遅くなる、ということはあっても、通信エリアは大手キャリアとまったく変わりません。
使えるアプリ …大事なデータもしっかり引き継ぎ
格安SIMに乗り換えても、基本的にはそれまで使っていたアプリをそのまま利用できます。アドレス帳のバックアップとデータ移行を済ませておきましょう。今までのデータがリセットされるようなことはないので安心してください。
ただし、大手キャリアのオリジナルアプリは使えなくなります。たとえば、ドコモの「スゴ得コンテンツ」、auの「auスマートパス」、ソフトバンクの「App Pass」などです。大手キャリアを卒業するので、使えなくなるのは納得できますね。
海外メーカーのスマホでも緊急地震速報などを利用できますが、アプリをダウンロードする必要がある場合も。ダウンロードを忘れないようにしたいものです。
乗り換える前に、アプリごとに引き継ぎの設定を確認しましょう。特に手続きせずに、ログインさえすればデータが引き継げるアプリもあれば、事前に引き継ぎ用のIDを発行しておく必要のあるアプリもあります。アプリ登録に利用したメールアドレスやパスワードなどを確認しておきましょう。
おサイフケータイ …今まで同様、便利に利用
格安SIMでも、おサイフケータイに対応しているスマホであればそのまま利用できます。今おサイフケータイを使っていて、そのスマホのまま格安SIMに乗り換えよう、という場合は引き続き利用可能です。
セット購入でスマホを新しく買うという場合は、おサイフケータイに対応している機種かどうかを確認してください。おサイフケータイは日本国内のサービスなので、海外メーカーのスマホだと対応していないことがほとんど。国内メーカーの機種を選択しましょう。
まとめ
格安SIMに乗り換えて大きく変わることは、スマホの料金です。そしてスマホ端末や電話番号、通信エリアやアプリなど基本の部分は変わらずに利用できるようです。
通信速度、サポート面などは大手キャリアの方が優れているので、ある程度割り切って使えるのであればメリットが大きいでしょう。
ただし、使い勝手についてはやはり使用してみないとわからないもの。格安SIMは最低利用期間などが大手キャリアよりも短く設定されているので、可能であれば一度ためしに使ってみて決められると良いかもしれません。