「ドコモの月額料金は月7,000円~10,000円前後だけど、格安SIMに変えると月2,000~3,000円くらいになる」という話をよく耳にするようになった人も多いのではないでしょうか。
確かに、格安SIMに変えると毎月の携帯料金は大幅に安くなります。これは事実。では、料金が安くなるだけかというと、もちろんそうではありません。格安SIMに変えることで得られるメリットとデメリットの両方があります。
このページでは、格安SIMの乗り換え前に知っておきたいポイントが丸わかりできるよう、情報をまとめています。
- そもそも格安SIMって何なの?
- なんで月額料金が安いの?
- 格安SIMの悪いところは?
- 乗り換えると何が変わるのか?
- 格安SIMに向いている人と向いていない人は?
この辺りの疑問を解消できるよう、説明を進めていきます。
格安SIMとは?
スマホには「SIMカード」と呼ばれる小さなカードが挿入されています。小さなカードですが、このSIMカードのおかげで、スマホが電波を受信して通話やネット通信をすることができます。
例えば、ドコモで購入したスマホにはドコモのSIMカードが挿し込まれています。このSIMカードに、ドコモとの契約情報など、重要な情報が詰まっているのです。
さて、一般的に呼ばれる「格安SIM」とは、月額料金が安いSIMカードのことを指します。docomo、au、SoftBank以外の会社のSIMカードが、総じて「格安SIM」と呼ばれています。携帯に挿入するSIMカードを変えるだけで月額料金が格安になることから、一般的にこう呼ばれています。
最近では、格安SIMのテレビCMなども盛んなので、すでにご存知の方も多いと思います。
格安SIMを提供している会社としては、LINE、イオンなどの有名企業が名を連ねています。
格安SIMが普及しつつある背景
日本のモバイル通信業界は、長らく大手通信キャリア3社(docomo、au、SoftBank)による独占状態が続いていました。この3社がモバイル通信のほとんどを占め、他の会社が参入しづらい状況だったので、価格競争が活性化しなかったのです。
携帯の会社はこの3社しか選択肢がなかったので、みなさん「携帯料金ってこんなもの」と思って毎月1万円近い携帯料金を払っていたかと思います。ですが、じつはこれ、他の先進国の通信料金と比べるとベラボーに高いのです。
政府のお偉い方も、大手キャリアの月額料金が高止まりしていることをよく思っていません。人々の家計が無駄に圧迫されるのは、日本の経済にとっても良いことではないからです。
ちょっと小難しい話になりますが、2018年8月27日の記者会見で、内閣の菅官房長官からも「日本の通信料金は、OECD(経済協力開発機構)の平均と比べても2倍近く高い」という発言がありました。
これではアカンということで、総務省が「もっと他の会社も入りやすくして市場を活性化しよう!」と通信業界のルールを徐々に変更しています(規制緩和というやつです)。
このおかげで、いろんな会社が通信事業者として活動できるようになったのです。特に2015年に行ったルール改正で、多くの会社が参入しやすくなりました。
その後から参入した会社のサービスが大手3社と比べると格段に安いことから、一般的に「格安SIM」と呼ばれているわけです。先述のLINE、イオンなどをはじめとして、他の業界でおなじみの会社が続々と参入しています。
格安SIMの料金ってなんで安いの?
では、なぜ格安SIMの月額料金は安いのでしょう?大きな理由は2つあります。
- 自社で電波塔を持っていないから
- 自社で実店舗を持っていないから
格安SIMの会社は、大手3社(docomo、au、SoftBank)のいずれかから電波を借りて運営しています。大手キャリアが地道に設営してきた電波塔の電波を借り受けて運営しているのです。この設営コストがかからない分、安く通信サービスを提供できるというのがひとつです。
実は、大手キャリアから電波を借りているので「通信エリア」は変わりません。例えば、格安SIMの「LINEモバイル」はドコモから電波を借りています。なので、LINEモバイルに変えると、スマホの左上の電波表示も「docomo」になります。「格安SIMに変えると、安いから通信エリアがせまくなる」というわけではないのです。
格安SIMの月額料金が安いもうひとつの大きな理由は、格安SIMの会社が店舗展開をしていないという事です。大手キャリアは「ドコモショップ」や「auショップ」といった店舗をかまえています。が、格安SIMの会社はこれを持っていません(店舗がある会社もありますが)。
全国に店舗を構えていない分、運営コストがおさえられて安くサービス提供できます。これは後ほど、格安SIMのデメリットとしても取り上げます。
格安SIMの主なメリットとデメリット
もちろん、大手キャリアから格安SIMに変えると「料金が安くなるだけで良いことづくめ」というわけでもありません。格安SIMにも良いところと悪いところがあります。まずは大きなメリットとデメリットをおさえておきましょう。
格安SIMの主なメリットとデメリット
メリット | デメリット |
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なんといっても毎月の通信費が安くおさえられるというのが格安SIM最大のメリットです。これに加えて、最低利用期間が短いというのも格安SIMの特徴です。大手キャリアでは2年しばりが一般的ですが、格安SIMでは半年しばりが標準的です。なかには最低利用期間がない格安SIMもあります。
上述の通り、格安SIMの「通信エリア」は大手と変わらないのでした。ただし、格安SIMでは、通信が混雑する時間帯に、通信速度が遅くなります。格安SIMは、大手キャリアから電波を借りている身分なので、大手キャリアよりも電波の道幅がせまいのです。道幅がせまい分、みんなが使う時間帯になると混雑しやすく、通信速度が遅くなります。
また、店舗をもたない会社が多いのも格安SIMの特徴です。なので「困ったらとりあえずお店へGO」という方には向いていません。基本的に対面によるサポート体制をとっていないのが、格安SIMのデメリットです。
ただ、電話問い合わせやチャット問い合わせなどは充実しているので、「別に店まで行かなくても問い合わせくらいできる」という方には向いているサービスと言えます。
その他 格安SIMに乗り換えて変わること
主なメリットとデメリットは、上述の通りです。この他にも格安SIMに乗り換えて変わることがあります。以下の事は、人によっては痛いデメリットになるのでチェックしてみて下さい。
キャリアメール | 大手キャリアで使用していたメールアドレスは使えなくなる。「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などのアドレス |
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かけ放題サービス | 大手キャリアのかけ放題サービスは「完全かけ放題」。格安SIMのかけ放題サービスは「最初の○○分かけ放題」というスタイルが主流 |
支払い方法 | 格安SIMは基本的にクレジットカード払い。現金や銀行振替の選択肢があるところが少ない |
LINEのID検索 | LINEで新規の友達追加をする時に使う「ID検索」が、格安SIMでは利用できない |
キャリアメール
乗り換えると、「@docomo.ne.jp」など、大手キャリアで使っていたメールアドレスは使えなくなります。GmailやYahoo!メールを使っている方は、それはスマホに関係なく使えるサービスなので、そのまま継続して使えます。
かけ放題サービス
格安SIMのかけ放題サービスは「最初の○○分かけ放題」というものが多いです。大手キャリアのように完全かけ放題は用意していないところがほとんどです。ただ、当然ながら、LINE通話であれば、格安SIMでも通話料なしでいくらでもかけることができます。
支払い方法
格安SIMの月額料金などは、基本的にクレジットカード払いになります。ただ、カード払い以外にも対応している格安SIMもあるので、カードを持っていない方でも利用することはできます。
LINEのID検索
格安SIMでは、LINEで新規の友達登録をする時に使うID検索ができません。ただ、「QRコード」や「ふるふる」などの方法で友達登録はできます。また、格安SIMの中でも「LINEモバイル」と「ワイモバイル」だけは、ID検索を使うことができます。
格安SIMに乗り換えても変わらないこと
大手キャリアから格安SIMに乗り換えるには、今のスマホをそのまま使うパターンと、乗り換えと同時にスマホも新しいものに変えるパターンがあります。どちらの場合でも、以下のことはそのままで移行可能です。
電話番号 | 手数料2,000~3,000円で、番号そのまま移行できる |
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通信エリア | docomoの電波を借りる格安SIMは、docomoの通信エリアと変わらない。同様に、au、SoftBankの電波を借りる格安SIMは、それぞれの通信エリアと変わらない |
アプリ | 「iPhone→iPhone」もしくは「Android→Android」の変更であれば、アプリや今までのデータなどは基本的にそのままデータ移行できる |
上述の通り、いま使っているスマホはそのままで格安SIMに乗り換えることが可能です。例えば、今iPhoneを使っているのであれば、それはそのまま使えます。androidでも同様です。
格安SIMに変えるからといって、スマホがショボくなったりするわけではないのです。スマホの使い方もそのままです。
(大手キャリアで使っていたスマホはそのままで、格安SIMに乗り換えする流れ)
格安SIMと大手キャリアの比較まとめ
格安SIMと大手キャリアの大きな違いを比較表にまとめました。月額料金はその人の選ぶプランによるので、標準的な使い方を想定した料金を表示しています。
格安SIM | 大手キャリア | |
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月額料金 | 1,000円~3,000円 | 7,000円~10,000円 |
最低利用期間 | 半年以内が標準的 | 2年 |
通信速度 | 普段◎ 混雑時は▲ |
普段◎ 混雑時は○ |
サポート体制 | メール・チャット・電話 | メール・チャット・電話・対面 |
メールアドレス | GmailやYahoo!メールなど推奨 | @docomo.ne.jp @ezweb.ne.jp @softbank.ne.jpなど |
かけ放題 | 最初の○○分かけ放題が主流 | 完全かけ放題 |
LINE友達登録 | 招待 QRコード 友達自動追加 |
招待 QRコード 友達自動追加 ID検索 |
支払い方法 | カード | 現金、銀行振替、カード |
上記の表は、標準的な格安SIMの会社を想定した比較表です。格安SIMの会社でも、店舗があって対面サポートをしている会社、クレジットカード以外の支払い方法にも対応している会社があります。
通信が混雑する時間帯とは、主に昼休みと夜のラッシュの時間帯です。例えば、楽天モバイルではこの時間帯を「12時〜13時」と「18時〜19時」としています。この時間帯でも、調べ物をする程度ならネット通信できます。ただ、YouTubeをスムーズに見るのは難しいです。
また、夜9時〜10時あたりも微妙につながりにくい時間帯と言われますが、家でWiFi通信していれば問題ありません。逆に、この夜の時間帯に「スマホでオンライン動画をよく見る」かつ「家でWiFi通信できない」という方は、大手キャリアのままでいるか、通信速度の安定している格安SIMを選ぶべきです。
格安SIMに向いている人と向いていない人
格安SIMに変えたほうが良いのは、下記のような人です。ざっくり言うと「普段はLINEで友達とやりとりするか、ネットで調べ物をするくらい。たまにインスタとかゲームもするかな」という程度の使い方であれば、格安SIMが向いています。
格安SIMに向いている人 – スマホの使い方
- スマホでネット接続するのはLINEと調べものをする程度
- 他の人と比べて、特別なスマホの使い方をするわけではない
- 家や職場ではWiFi(ワイファイ)でネット通信する
- InstagramやTwitterなどのSNSをよく使う(※SNSカウントフリー)
- 初めてスマホを使う
※格安SIMの中には、LINEやInstagram、Twitterなどのデータ通信は通信量にカウントしないという「SNSカウントフリー」というサービスを展開している会社があります。こういったサービスのヘビーユーザーは格安SIMに向いています。
格安SIMに向いていない人 – スマホの使い方
- 通学,通勤時間やお昼休みにスマホでオンライン動画をよく見る
- LINE通話などではなく、電話番号発信での長電話をよくしがち
- ドコモショップなどの店舗をよく利用する
- 「@docomo.ne.jp」などのキャリアメールアドレスを変更したくない
- 通信費は高くても気にしない
大手キャリアから格安SIMへ乗り換えをする流れ
格安SIMへの乗り換えは意外とあっけないです。ここでは、今つかっている電話番号はそのままで、大手キャリアから格安SIMへ乗り換える王道パターンについて説明します。「いま使っているスマホをそのまま使うパターン」と「乗り換えと同時にスマホも新しいものにするパターン」で紹介します。
使ってるスマホはそのままで乗り換えるパターン
① SIMロック解除 | いま使っているスマホの「SIMロック解除」の手続きをしておく。今の会社にウェブから手続き可能。 |
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② MNPの予約 | 「番号そのままで乗り換えします」という手続き。いま使っている携帯会社に電話でOK |
③ 格安SIM申し込み | 基本は公式サイトからウェブ申し込み |
④ SIMカード到着 | SIMカードが自宅に郵送される |
⑤ 挿し替えと設定 | 使っているスマホにもともと入ってるSIMカードを取り出し、送られてきたSIMカードを挿し込む(元の会社は自動解約される)。SIMカードに同封されている用紙にしたがって初期設定 |
⑥ 利用開始 | 格安SIMの利用開始! |
①の「SIMロック解除」について。例えば、いまドコモの人が、ドコモの回線を借りている格安SIMに乗り換える場合、この手続きは不要です。(docomo回線、au回線、SoftBank回線、それぞれの格安SIM一覧)
このように、手続きは電話とネット申し込みで済むので、わざわざ店舗まで行く必要はありません。意外と簡単に乗り換えが完了します。
新しいスマホを買って乗り換えるパターン
① MNPの予約 | 「番号そのままで乗り換えます」という手続き。いまの携帯会社に電話するだけで手続き可能 |
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② スマホ購入 | スマホを購入しておく。Appleストア、楽天、Amazon、家電量販店、どこでもOK。格安SIMの申し込みと同時にセットでスマホを購入することも可能。 |
③ 格安SIM申し込み | 基本は公式サイトからウェブ申し込み |
④ SIMカード到着 | SIMカードが自宅に郵送される |
⑤ 挿し替えと設定 | 使っているスマホにもともと入ってるSIMカードを取り出し、送られてきたSIMカードを挿し込む(元の会社は自動解約される)。同封されてる用紙を見ながら初期設定 |
⑥ 利用開始 | 格安SIMの利用開始! |
このように、MNP(マイナンバーポータビリティ)という手続きで電話番号をそのまま移行することができます。しかし、「今の電話番号を変更してもかまわんよ」という方は、乗り換えと同時に電話番号を変更するということもできます。
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