格安SIMは、事業のコストを徹底して削ることで安さを実現しています。大手キャリアの通信回線を借りてサービスを行うので、設備費用などのコストがかかりません。
格安SIMは大手キャリアから通信設備を借りている
大手キャリアとは、docomo・au・SoftBankの3社を指します。日本の携帯電話ネットワークは、この3社が作り上げたものと言っても過言ではありません。大手キャリアは自社で通信ネットワークを開発しており、ここにたいへんなコストをかけています。
格安SIMの会社は、大手キャリアから通信回線をレンタルさせてもらい、サービスを提供しています。借りているだけなので、基地局の建設コストは必要ありません。そこが、安さの一番の理由です。
大手キャリアが通信ネットワーク整備に費やす金額は巨額です。また、ネットワーク開発には時間も人も必要です。通信設備の構築が行えるのは、潤沢な資金を動かせる大会社だけ。大手キャリアは、通信ネットワークにかかったコストを回収するために、スマホ料金も高く設定しています。
格安SIMの会社が削減しているコスト
格安SIMの会社が削減しているコストは、通信設備費用だけではありません。そのほかにも、いろいろな費用を抑えています。
- 店舗費用
- 人件費
- 広告費
店舗費用
格安SIMはショップの出店をせずに、ネットで申し込みを受け付けているところがほとんどです。店舗運営にかかる費用を極力抑えていることがわかります。大手キャリアのショップの数に比べると雲泥の差です。
とはいえ、格安SIMが普及するに従って、店舗展開を戦略にするブランドも増えてきています。たとえば楽天モバイルなどは、あちこちにショップを構えることで集客に結びつけています。
また、本業で店舗展開している場合、格安SIMサービスをそのショップで行うというタイプのブランドもあります。イオンにあるイオンモバイル、書店のTSUTAYAで申し込めるTONEモバイル、iPhone修理ショップであるリペアSIMなどが良い例です。
人件費
回線設備を行わないこと、店舗展開をしないことにより、人件費を抑えることができます。設備を担当するスタッフや、顧客対応するスタッフは最小限で済みます。問い合わせや申し込みの窓口は多くの場合ネットがメインです。
広告費
大手キャリアは広告宣伝、販売促進のためのパンフレットやツールなどにも費用をかけています。TVCMのほか、電車での交通広告、屋外広告などさまざまです。格安SIM会社の広告費は、キャリアに比べて非常にささやかです。
近頃は、格安SIMの中でも戦略的にTVCMや雑誌広告を出している会社もあります。しかし、それはまだほんの一部。UQモバイル、mineo、BIGLOBEモバイルなどはブランド認知度を高めるための広告を打っています。
通信速度が安定しない場合がある
格安SIMは、通信速度が大手キャリアより少々劣ります。それは、「借りている回線の範囲で通信サービスを行う」からです。キャリアは自社の回線を幅広く使うことができるのに対し、格安SIMが使えるのは契約をしている一部の回線だけです。
利用が集中する時間帯は混み合うので、通信速度が落ちる傾向があります。朝夕の通勤時間帯や昼休みの時間帯などは、スピードが不安定になる可能性があります。
しかし、混み合う時間帯以外はストレスなく利用ができることがほとんどです。通勤時間のスマホの使い方を工夫する、ある程度の速度で妥協することができれば格安SIMでも大丈夫でしょう。
また、今はキャリアとそれほど変わらない通信速度が出るものもあります。利用者の数や地域、時間などによって通信速度データが変わるので一口では言えませんが、UQモバイルのau回線やLINEモバイルのSoftBank回線などの通信速度は高評価を受けています。
なお、通信速度は多少落ちますが、通信エリアはキャリアと変わりません。格安SIMにしたからつながらない、ということはないので安心してください。
通信速度が速い格安SIM【参考程度!】
サポート体制は手薄になる
大手キャリアのきめ細やかなサポートは、格安SIMには期待しない方がいいかもしれません。格安SIMは、基本的に自分に合う機能やサービスを自分で選んで契約します。
問い合わせは公式サイトから、チャットや電話、メールで行います。プランの選択、オプションサービスなどをあれこれ勧めてくることもほぼありません。プロが決めてくれたプランにそのまま入っていた、という人は最初は少しまごつくかもしれません。
スマホの故障時は、基本的にメーカー対応になります。大手キャリアのようにショップに駆け込んでなんとかしてもらう、ということができなくなることが多いです。
逆に、大手キャリアの至れり尽くせりのサービスがうっとうしいなあと思っていた人は、格安SIMのシンプルな契約に満足できると思います。「かけ放題が最初から入っているけれどそんなに通話しない」「いらないオプションサービスに入っている」ということはなくなります。